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「え!?」
亮の言葉が終わるよりも早く、マサルの腕は上杉に軽くかわされ、バランスを崩して身体が宙に浮く。
ポンと上杉に軽く押されて灰色の屋上の床に叩きつけられるマサル。
「な、なんだてめぇ!」
今度はハジメが上杉に向かって右足で蹴りを放った。
瞬間、またもや身をかわした上杉が軽くその脚に触れる。
するとハジメの身体がスピンしてマサルの横に転がって行った。
「亮、アンタもやる?」
「……行くぞ」
亮は下に転がっているふたりに向かって小さく言う。
「逃げるの? 結局ひとりじゃ何も出来ないのよね」
「なんだと!」
「だってそうでしょ? 道場だって、黙って来なくなったと思ったらイジメなんてダサいことしてるなんてカッコ悪い」
「テメェ、言わせておけば。クソッ、やってやんよ」
そう言うと亮は両手を上下にして前に出して手のひらを開いた。
それはまるで剣を構えてるみたいだ。
「中段の手刀。へぇ~、まぁ~だ構え方だけは覚えてたみたいね」
「うっせぇ。行くぞっ!」
「下がってて」
「え?」
「危ないから」
「……」
俺は言われるままに、二人と距離を取った。
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