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「え? そんな事ないよ。なんかうまく言えないけど、スゲェーッて」
「ほら、やっぱり男みたいだって――」
「違うよ。そうじゃなくて。その、お礼が言いたくて」
「いいよ。そんな、お礼なんて」
「あとさ、うまく言えねぇーけど、あいつらを投げた時の上杉、スゲェ綺麗だった」
「え!?」
「うん。なんかありえないくらい綺麗だったよ」
「……ありがと。なんか、そんな風に言われたの初めてかも」
上杉がなんだか照れくさそうに頬を赤らめた……。
俺たちは、並んで再び歩き始めた。
「俺こそ。危ない所、助かったよ……なんか俺、情けなくて。男なのに、やられっぱなしで」
「しょうがないよ。三対一じゃ」
「でも、上杉は……」
「あたしは慣れてるから。ああゆーの」
慣れてる?
俺達はまたしばらく歩いた。
別について行った訳じゃない。
俺の家も方向が同じだったからだ。
でも、もう少し上杉と話がしたいなと思って……。
自分家に行く別れ道が来てもさよならを言えなかったのもホントだったけど。
「寄ってく?」
「え?」
「ここ、あたしんちなんだけど」
歩いていた上杉は不意に立ち止まった。
俺も合わせて立ち止まる。
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