28644

10/13
前へ
/13ページ
次へ
「怖い?」 「そ。そんなお金積まれたら、ほとんどこの身を買われるようなものじゃない。その上、いつ向こうの興味が失せるかなんて分からないのよ。地獄だわ。だから私は高校一年の時、長い眠りについた。そして、起きたらおばあさん。両親も友達もいない。それなら死んだ方がマシだった。どこかの医者が脳死から蘇生させられる手法を開発したんですって。私としては、拷問だわ。こんな現実を押し付けられて。もう一度問うわ、どうして今なの? いくら昔好きだったとしても、もう私はおばあさんよ。しかも、何十年間も私を愛したですって? 狂ってるわ。今言ったように、私は混乱しているの。目覚めたのが先月。毎日死のうと思いながらリハビリして、やっと歩けるようになった。だから何なの? 何をしろって言うのよ? 一人で投身自殺出来るように? なら、目覚めずに殺して欲しかったわよ!」  三木さんはヒステリックに怒鳴り散らした。泣いているのか、最後はほとんど嗚咽が混じっていた。 「本来、その予定だったんだよ三木さん。もっと早くに安楽死させる予定だった」 「ならどうして!」  三木さんは身を震わせ吠える。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加