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「多分それは、君が欲しい物だ」 「私が欲しい物?」 「君は要するに、たった0.2秒の途方も無い試行回数の選択にも動じない、恒久の好意が欲しい訳だ」  僕がそう言うと、三木さんは目を閉じ、少しの間考えに耽けった。自分がこれまで求めてきた物の答え合わせをするように、あーでもないこーでもないとブツブツ呟く。  そして、目が開いた。 「なるほどね。あなたの言う通りなのかもしれない」 「それは良かった。あとさ、今思い付いたよ。僕が僕の意思で君を好いている証明は可能だと思う」 「ふーん、なら聞かせてもらおうかしら。もしかすると、心が傾くかもしれないし」 「そのつもりだよ。こっちは人生を懸けてる」 「そ。早く始めて?」  三木さんは審査官にでもなったつもりなのか、腕を組んで見せる。能面の口端が僅かに上がった。 「これまでの話から鑑みるに、君の必要とするものは所謂、永遠の愛という奴だ。僕は、それを提供出来る証拠を出せば良い。いいね?」 「そうなるわね。でも証拠って? ずっと前から好きでした、なんて言葉、これまで星の数ほど聞いてきたわよ」 「いいや、僕には物証がある」 「なるほど、なら提出なさい」  促されるまま、僕は背負っていた一斗缶を床に置く。ガゴン、ジャラジャラと鈍重な音が鳴った。 「ずっと不審に思ってたけど何これ」  三木はムっと眉根を寄せる。 「僕の秘密兵器って所さ」  軽くなった肩を僕は竦めてやった。
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