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「待て待て、そこは愛してる、だろう!?」
「は? 冗談は顔だけで十分」
掻き上げた髪を耳にかけ、首だけで振り返る三木さん。その鋭い目線は妙に艶めかしい。
「残念だけど顔も、僕の告白も、冗談じゃないよ」
「最低ね」
「なら三木さん、僕と一緒になって下さい!」
「どうして今のタイミングで告白したのよ……」
「さっきのが最低なら、今の告白は幾分か良くなったはずだ。そうだろ?」
「おめでとう、最低が更新されたわ」
鼻で笑うと三木さんは向こうに顔に向けた。一歩、三木さんが僕から離れる。
絶望が僕を満たし、視界の三木さんのすらりとした背筋がぐにゃりと曲がった。僕の一世一代の告白は失敗に終わった。
「どうして今なの?」
不意に、三木さんの歩みが止まる。僕が突然の事に呆けていると、三木さんは続けた。
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