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「で、それはだれだと思うの?」
「うちのクラスにT.Sは大河しかいない……」
「俺しか、ね。そうかもね。で、もしその卒業式に気づいてたらお前はどうしてたの?」
大河が全然自分だという雰囲気を見せてこない。
やっぱり違ったんだろうか。
でも、ここで逃げるわけにはいかない。
「体育館裏行ってたよ……」
告白とも取れるこの言葉をつぶやく。
いいんだ、振られても。
ちゃんとどこにも置いてこれなかった、自分の気持ちをどこかに置くことができそうだから。
もしもこれで振られても後悔はない。
「なんでいつもポケット触るくせに、その日だけ触んねぇのよ」
ぼそっと大河が呟いたかと思うと、その場にしゃがみ込む。
「……大河?」
「マジ、あの日俺何時まで待ったと思ってんの?それなのにノコノコ文化祭きやがって。平静さ保つの難しかった」
照れているのか自分の手で顔を覆う。
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