バネジョのお嬢様が焼くパンケーキは謎の香り

５

　僕は学校では大人しいし、友達も少ないけれどそれなりに人と接触する機会は多い。歩花さんと言えば多分、店で接客する位だ。客は友達じゃない。

　彼女は他愛ない話をする友達が欲しいのだろう。幸い僕と、歩花さんは年が近い。話し相手にはピッタリなのかもしれない。

「いいですよ。どこの神社にします？」

「亀ヶ池弁天がいいわ」
　歩花さんははしゃいだ声を出した。そこは、つい最近僕もお参りに行ったばかりだ。でもその事は口にしない。

「いいですね。そうしますか」

「うん。お正月は一年に一度しか売っていないお守りも買えるし。絶対ご利益ありそう」
　僕も同じ事を考えた所だった。また正月に亀ヶ池弁天に行ける。帰りに屋台でりんご飴でも買おうかな。そんな事を考えるのも楽しい。