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日誌に日付を書いたところで、本日最初の願届人が来所した。
「あのー。落し物届いてないですか?青色の宝石が入ったブローチなんですけど・・」
年齢は10代後半から20代前半の女性だろうか。
ワンピースと目深に被ったつばの広い帽子で顔は見えないが、声で若い女性なのはわかった。
「落し物ですね。いつ落とされたんですか?」
パソコンで遺失物システムを立ち上げながら、女性に聞くと、帽子を外しながら、女性は、昨日ですと答えた。
帽子を外した女性はかなりの美人だった。
髪は金髪に近い茶髪でベリーショート、目は大きく綺麗な緑、整った顔立ちにスタイルも抜群。こんな田舎にも日本語ぺらぺらのとんでもない美人外国人がいるもんだと思いながら、
不自然極まりない彼女の猫耳
を見ていた。
最初の願届人は、いきなり向こうから来たようである。
もちろん彼女の耳はつけ耳ではない。
俺と話しながら
耳がぴこぴこ動いてるーー!!
という心の声は、心の奥底にしまい、俺は何食わぬ顔で対応を続ける。
最初の頃は、コスプレイヤーが多い町くらいに思っていた、無理を言って触らしてもらった結果(今思うとかなり失礼なことをしたと思う)本物だとわかり驚いた。
まぁ他にも色々あって信じることになったのだが。
それでも、たまに目の前の現象が事実なのかどうかわからなくなる時がある。
それにしても、美人が猫耳で、しかもぴこぴこ動いてるのを見ると・・・
「あのー。聞いてます?」
「あ、すみません。(ぴこぴこ動く耳)可愛いですね」
「!?・・・ぇっ?あの・・」
ん?んん?んんんん?!あれ?俺何言った今?あー、これヤバイ感じですね。なんとか上手く切り返さないと。
「いや、あのですね。耳がですね、えぇ綺麗だなと・・」
「・・・・・」
いやー気まずい。本当に気まずい。
猫耳の美人は、顔を真っ赤にして押し黙ってしまった。
交番内には、静かにキーボードを打つ音だけが響いていた。
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