ヤマヨコ交番

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気まずい。ただただ気まずい。 なぜ、初対面の女性、よりによって美人に可愛いなんて言ってしまったのか。 そりゃあ俺だって、ガキの時は厨二全開だったけど、そんなファンタジー世界が実際にあるとは、今でも信じられない。 猫耳美人なんて最高ですなんて口が裂けても言えないが、この沈黙はなんとかしたい。 システムで検索した結果、ブローチの拾得はなかった。 「検索しましたが、ブローチはまだ拾われてないみたいです」 女性は、まだ顔を真っ赤にして俯いている。 「遺失届出しますか?」 「ひゃい?!あ、はい!お願いします!」 「ここに名前、住所、そして見つかった場合の連絡先を・・見つかった場合は、あちらの詰所前掲示板に掲示しておくので連絡先は書かなくていいです」 向こうの世界に携帯電話は当然存在しない。 女性は、慣れた手つきでサラサラと名前、住所を記載する。 名前はーーオリヴィエ・イース 住所はーーザストラ6丁目・・所長におつかいを頼まれた酒屋が近いな。 ちなみに、彼女を始め、向こうの方々は大概が日本語を喋れ、教養のある者は書くこともできる。 理由は全く知らないが、共通語として、普及しているらしい。     
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