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「……まるで、女神のようですね。まあ、小学生のときは、彼女、ほづみさんの女神だった訳ですが」 「だまってろ。せっかく、労ってやろうと思ったのに」 「おやおや、残念。まあ、口での労いよりも、もっと積極的で熱いご奉仕のほうが僕は好みですけど」 「蹴るぞ」  撮影場所から少し離れた位置に立っているからか、現場の様子が手に取るように分かる。  女優、天木志保里のカリスマ性のある美しさと、年齢が見せる知性は女王のようだ。  その、志保里と、《Virgin》と言う名をつけられながら、熟した美しさと処女を感じさせる清楚さを併せ持つ指輪。二つが合わさって、男を魅了しないわけがない。  ほづみと遼が見守る中、撮影は滞りなく進んでゆく。  モニターに映し出される天木志保里の画像は、どれを採用するか迷うほど、会心の一枚ばかりが並んでいた。  徐々に熱くなってゆく現場の雰囲気に、ほづみはネクタイを少しだけ緩めた。 (天木さん……ほんとうに、綺麗だ)  感嘆の吐息は漏れど、小学校の頃に抱いた激しい感情は残念ながらない。  失恋したからというのもあるが、さすがに時間が経ちすぎている。なにせ、小学校の頃に抱いた恋心だ。色あせている。     
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