番外編:ジャック・オ・ランタンの憂鬱=後

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「そっか、その手が……」 「いや、ちゃんと捨ててくれるって聞いて安心したよ」 「……あ、うん、そ、そうだね。うん、多分そこは手を出しちゃいけない領域だ」 日置も日置なりになんだかボーダーラインがあるらしい。 ……よかった。 「日置、オレ自身よりわけのわからないコレクションに執着するようになったら、その時もバイバイだからな?」 「えっ!? いや、そんな変態的な収集癖なんてないから!大丈夫、絶対……生身のラブちゃんが一番だ」 「そっか……うん。じゃ日置、続きも切ってくれる?」 そう言って日置の額にチュッとキスを落とした。 「っ……はぁ…うん最高に綺麗に仕上げるから」 別に綺麗さは求めてないけど、日置がそうしたいならそれでいい。 それにしても日置……。 『変態的な収集癖なんてない』なんて言ってたけど、コスプレ写真へのこだわりはちょっとそっち寄りぽい気がするんだよな。 間違いなく写真の方が綺麗で可愛いから、オレ本人より、オレのコスプレ写真の方が好きなんじゃないかってちょっと疑ってるところもある。 オレのコスプレ写真を見て日置がデレデレしてる時に、たまにモヤっとして強引に自分の方に向かせたりすることがあったけど、今考えればあれは完全にヤキモチだ。 日置は小さなヤキモチを妬かせたり、独占欲を発揮させたい……みたいなことを言ってたくせに、実際オレがヤキモチや独占欲全開にしても全く気づかないんだよな……。 日置が期待するような方面でヤキモチを妬かないオレと、ちょっとくらいのヤキモチじゃ全く気づかない日置。 うん、国分くんの言っていた通り『俺にいい具合にヤキモチ妬かせたい』という日置のささやかな野望は前途多難そうだな。 「はぁ………やっぱりラブちゃんの小指の爪……ほんと可愛い。のびのび育った感じがしていいよね」 「へぇ、そう?」 「はぁ……こんな風にじっくり見てたら、小指と薬指の間に舌を差し込みたくてたまらなくなる……」 「……っっぜっったいダメ!」 狭い足の指の間に差し込まれた舌のぬるっとした感触を想像しただけでくすぐったくなって足が跳ねた。 「も……爪切りいいから……おしまい」 「え……そんな」 「これじゃ、トリック オア トリートじゃなくて、トリック『アンド』トリートじゃねぇか。変なことする気ならもうやめ!」
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