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「ハッピーハロウィン!」
悪魔の角のヘアバンドやフェイスシールをつけただけの簡単コスプレのOL三人がちょっと恥ずかしそうにレジの国分くんに声をかける。
「ハッピーハロウィン!」
カボチャの被り物でニコニコ笑顔の国分くんが会費と引き換えに缶バッチを渡した。
今日はバイト先の居酒屋の二階フロアでハロウィンイベントをやっている。
平日なので、参加者はそう多くないだろうと踏んで一階は通常営業。
イベントに参加するお客さんはレジに『ハッピーハロウィン』と声をかけるのが決まり。参加者の印のカボチャの絵を描いた缶バッチを受け取り二階へ。
会費制でフリードリンク、食べ放題。
一応席は割り当てられるけど、しきりを極力取っ払って空席以外は行き来自由。
予約で通常の席はほぼ全部埋まっていて、当日参加のお客さんは追加で設置したテーブルやいつもは使用していない窓際カウンターに案内していた。
今日はイベントの時間のみ人員も増員し、パーティグッズで皆簡単なコスプレをしている。
30分に一度、ドリンク無料券なんかが当たるゲーム大会もやってそれなりに賑わっている。
コスプレ衣装は副店長がまとめて買ってきたものを、オープン前に店長が適当にみんなに渡した。
けどここで日置が店長にクレームをつけた。
日置が店長に改善要請をすることは珍しくないけれど、滅多にないきつい口調とその内容に店長が目を白黒させている。
「店長!ラブちゃんになぜフランケンの被り物なんですか?」
「え……順番に配っただけだけど」
「でも俺には選んでヴァンパイアにしましたよね?」
「あー、まあ、最初見たとき日置君はこれかなって思ったんでな」
「適当なんだったら変えてもらっても良いですか?」
「あー良いよ。何でも好きなの……え……いや、それ伊良部くん向きじゃなくないか?」
戸惑う店長を尻目に日置が手に取ったのは黒い魔女ミニワンピだ。
「イメージちがいますか?じゃあ、赤の小悪魔ワンピ……」
「いや、そういう事じゃなく……」
「血まみれナース服は居酒屋には不適切ですよ、店長」
「あーまー、確かに?」
「やっぱりちょっと大胆に、パンプキンカラーの腹出しセパレート」
「えーっと、伊良部くんの衣装選んでるんだよね?」
「ああ、腹出しはさすがにサービスしすぎかな……っていてっ!」
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