番外編:ジャック・オ・ランタンの憂鬱=前

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「えーっと、ほら、素揚げのかぼちゃチップスとか?」 「うんうん、それも好き。でもやっぱり天ぷらがいいかなぁ」 「そっか、オレ、スイートポテトのサツマイモをかぼちゃにしたやつも好き」 「わあ!プリンとかより美味しそうだね。でも食べたことないから、やっぱり僕のベストオブパンプキンは天ぷらだな」 国分くんの機嫌が一気に回復した。 こと国分くんにおいては、揚げ物が無敵すぎる。 「もうすぐお客さん参加のゲームも終わるし、日置にレジ代わってもらえば。あいつ片付けには不向きな邪魔マントマンだから」 「そうだね、お客さんも日置にお菓子を渡してもらった方が嬉しいだろうし」 「うーん……それはどうかな」 「あっ!もしかして、今のヤキモチ?日置がモテるのがイヤなんだ?」 言葉を濁したオレに、国分くんが目をキラキラさせておかしな勘繰りをし始めた。 けど、そういうことじゃない。 イベントの予約席のお客さんは日置にキャーキャー言うような若い子よりも、国分くんを気に入ってる年齢高めの常連さんの方が多かった。 ゲーム中に散々堪能した日置よりも、ジャック・オ・ランタンなニコニコ国分くんからお菓子をもらってほっこりしたいんじゃないかな……。 ま、いっか、なぜか『トリック オア トリート』で強盗されてる気分になってしまってる国分くんの心の平穏を取り戻す方が大切だ。
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