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バイト終わりに少しだけ日置のアパートに寄った。
一~二時間滞在して日付が変わる前には帰るつもりだ。
ローソファーに並んで座った日置はオレの腰を引き寄せだらしないニコニコ笑顔になっている。
ラフなTシャツと綿パン姿の日置と、まだポリスコスプレのオレ。
日置が店長に、オレの着てきた服に何かをこぼして汚してしまった……なんてウソをついたため、借りて着て帰るハメになってしまった。
街中にちらほらコスプレのやつらがいるとはいえ、恥ずかしいのでさすがに上着でわからないよう隠したけどな。
それにしても、うーん、足なんか全く出ていないし男性衣装のコスプレなのに、このニコニコっぷり。
「お前、どんだけコスプレ好きなんだよ」
「うん、自分でもコスプレ好きだなんて思ったことなかったんだけど、ラブちゃんがいつもと違う格好をしてるってだけでこんなにワクワクするんだね」
……………こいつ……自分でコスプレ好きだと思ってなかったのか……。
「それで……その……お願いなのですが、その、国分くんが言ってたアレを……」
………言ってたアレ?
「ハッピーハロウィン?」
「いや、そっちじゃなくて」
情けなく日置が眉毛を下げる。
「トリック オア トリート?」
「いや、それでもなく……」
「施しを与えるか、さもなくば騙し惑わせるか……」
「え………?」
日置が驚いた顔でオレを見つめる。
「あれ?違った?国分くんがトリック オア トリートの意味をこんな風に言ってたんだけど」
なんか日置の顔がヒクヒクしている……これはどういう表情だ?
「あーーううー。ラブちゃんを騙し、惑わせ……あああああ……してみたいっっ。それこそ騙してでも真っ赤な小悪魔ドレスを着せて、ラブちゃんを惑わせてあああっ……その時は網タイツでお願いします」
「何の話だ。オレが網タイツなんか穿いたら、漁師の網にかかったようにしか見えねぇよ!」
「あはぁああっっっそ、それもイイっっ……半裸の濡れたラブちゃんが網にかかって、もつれ、悶えて……それを俺がそっと優しく解いていって……」
「ちょ……日置!」
一人盛り上がってる日置にぎゅうぎゅうと抱きしめられてしまった。
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