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膝を撫で回され、グリグリ頬ずりされ、ちょっと苦しい。
「おい、ちょ、もう!やめろ!フリーズ!」
ポリスコスだったことを思い出し、日置にフリーズ(止まれ)と命令してみると、見事にピタッと止まってくれた。
「ハンズアップ!」
日置が素直にオレの体を放して両手をあげる。
ほっと安心したけど、日置の目は明らかに何かを期待していた。
これは……?
あ……もしかして……。
オレは腰についていた手錠をチャラっと音を立てながら日置に見せた。
「オレを困らせる悪い子は、逮捕しちゃうぞ?」
オマケでぶりっ子笑顔もつけてみた。
その途端、日置の顔がデレデレと崩れていく。
「ふ……ふぁ……っ。よ、よろしくお願いします!」
「『よろしく』ってなんだよ。ま、いいや。んじゃ日置、自白しろ」
「自白?」
「お前、国分くんにオレにいい具合にヤキモチ妬かせる方法とかいうのを相談してるんだって?」
「はっ!? ……いや、ちが……その……」
「『いい具合にヤキモチ妬かせる』ってなんだよ」
「そ……それは、ラブちゃんが心配はするけど本気で怒ったりせず、ちょっと独占欲見せてくれたり……とか?」
「はぁっ?お前、オレにヤキモチ焼かせるためだけに他のヤツとイチャイチャするつもりなのか?」
むしろオレは独占欲の塊で、日置はモテるから可愛い子に言い寄られるのはしょうがないんだって自分に言い聞かせるのに必死なのに、国分くんにロクでもないこと相談しやがって。
「えっ……いや……イチャイチャまでは……『もしかして』程度とか……ね?」
「『もしかして』なんて日常茶飯事だ。お前、ただでさえすぐどっかの女の子と噂になるくせに、そのことを反省もせずに、さらにオレに嫌な思いをさせるつもりなのか」
「いや……噂は全部|周囲(まわり)の勘違いだから……」
「わかってるよ!じゃなきゃとっくに別れてる」
「そ、そ、そうだよね、うん、ラブちゃんは変な噂なんかに惑わされたりしない……」
「でもお前は、オレが噂に惑わされて、ヤキモチ焼いて、もうダメかもって思って欲しいんだな?」
「いえっっ!これからも惑わされることなく、俺の本当の気持ちだけを見ていてください!」
両手を挙げたまま必死に言う日置が間抜けで可愛い。
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