番外編:ジャック・オ・ランタンの憂鬱=後

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ぁっ……うぁ……もう……ビクビクするから足首はダメなんだって……。 しかも時々オレの様子を伺う目がうっとり幸せそうで……。 くそっ。日置は手錠すらも似合うな。 両手を拘束されながらもうっとりと奉仕するなんて側(はた)から見たらまるっきりドMだぞ。 はぁ……今日は寝る前にこの手つきと表情を思い出して悶々としてしまいそうだな……。 マッサージと拭き上げが終わり、日置が仕上がりを確認するフリをして持ち上げた足の甲に……チュっとキスをした。 小さく足を跳ねさせてたけど……。 「ンァっ……!」 足の親指を口に含まれ、つい変な声を出してしまった。 暖かく湿った感触にゾクゾクと全身が震える。 「こらっ。足指咥えるのダメ!」 足を手錠のチェーンに引っ掛けぐいっと引くと日置が驚いた顔をした。 「ご褒美をあげるなんて言ってないだろ?お前は懲役中なんだぞ」 「……うん。ごめん」 叱られたって……あーあ、だらしない笑顔だ。 オイルを爪に丁寧に塗られる。 たまにくすぐったくて声が出る。 ……クソ。 そんなつもりじゃないのに漏れる声にだんだん甘さが混じってしまう……。 「ンっっ…親指そっとさわるのはダメだって、するんだったらしっかりこすってくれよ」 「わかった。こう?」 「ん……それでいい」 フッと笑う日置の表情は幸せそうで、逮捕とか懲役とかそんな設定どうでもよくなってきた。 「さ、ラブちゃん、下準備完了」 じっと目を覗き込んで『いい?』と聞いてくる。 もちろん、準備前から日置の目線で何をしたいのかわかっていた。 日置の髪をくしゃっとかき混ぜ続きを促す。 「その……あまり深くまで差し込まないつもりだけど、痛かったら教えて」 「大丈夫。お前のこと信じてるから」 俺を見上げる日置の綺麗な顔がふんわりと幸せに輝いた。 日置の手には銀色に輝くニッパー。 そう、日置の『施し』は足の爪切りだ。 パチン……。 狭い部屋に硬い音が響く。 爪が飛ばないように日置は丁寧に手で覆っていた 。 「……その爪」 爪先に集中していて声をかけても視線がオレの顔に向くことはない。 「ん……?爪が何?」 「いや……どうするのかな?って」 「どうって、普通に捨て……」 ハッと日置の肩が揺れ、バッとオレの顔を見た。
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