霜月 ラディッシュとヤリイカ

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 しっかり味わいたくて、栗羊羹をゆっくり食べた。  貴和美が食べ終わると、一楽は仕事の手を止めて話しかけてきた。 「外出許可の時って、病院には何時までに帰らないといけないの?」 「消灯までだから、夜9時です」 「それ以降になるときは?」 「それだと外泊になるので、あらかじめ外泊許可をもらいます。貰っておかないで遅れると、医師の指示に従わなかったということで病院を出されてしまうんです」 「結構、厳しいんだね」 「もちろんです」 「今度、外泊許可をもらって、夜まで一緒に過ごさない? 夕方ぐらいに会って」 「え? 夕方から?」  貴和美の疑問に、一楽は少し慌てた。 「あ、もちろん、昼からのデートでもいいけど、貴和美ちゃんの体調を考えると長時間は難しいと思うんで、夕方ぐらいに会って、食事して、一緒に過ごせたらなあと考えている」 「………………」  貴和美は、夜に過ごす意味が分からなくて返答に困った。 「いつも、店か外で落ち着いて話せないから、部屋でゆっくり過ごすのもいいと思うんだ」 「そうですね」  それは、夜でなくてもよさそうに貴和美は思う。 「あ、無理ならいい。外泊許可も、貰えるかどうかわからないもんな」 「外泊許可は出るかもしれないので、出た時は連絡します」 「そうしてくれる? くれぐれも、無理しなくていいから」 「大丈夫です。最近、体調がいいんです。いつ頃がいいですか?」 「12月の頭がいいな」 「分かりました。先生に、聞いてみます」  一楽と約束すると、貴和美は店を出た。
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