霜月 ラディッシュとヤリイカ

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 天糺が、ベンチで寝ている。 「天糺ちゃん」  貴和美が声を掛けると、むくっと起きて貴和美を見た。 “今日も美味かったか?” 「最高にね!」  貴和美は、一楽との約束について相談した。 「一楽さんが、夜に会って部屋で過ごそうって言ってきたんだけど、どういう意味だと思う?」 “夜に、一緒?” 「そう」 “簡単だ。それは、二人の子どもを作ろうって意味だ” 「コ! コドモ!?」  貴和美は、目玉が飛び出そうなぐらい驚いた。  天糺は、驚いた貴和美に驚いている。 「子どもなんて、考えたこともなかった。飛躍しすぎじゃない?」 “ミーたち猫は、そうだ。好きな猫がいたら、夜に会って、意気投合すれば子づくりをする……” 「いやいやいやいや! そんな感じ一切なかったから! まるで、『お花見しない?』ぐらいのノリだったから!」 “深刻な顔で言ったら、貴和美がおびえるからだろ。ミーだって、そんな時は、猫撫で声を出すぞ” 「天糺ちゃんが、猫撫で声を?」 『猫撫で声』に、貴和美はブフッと吹きだした。
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