師走 カラフル野菜とヒラメ

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 三糺の前につくと、貴和美は天糺を探した。  いつもの場所にベンチが置かれていない。だから、天糺の姿もそこにない。 (お店が休みでベンチがなくて、いないのか……)  周囲を軽く探したが、見当たらない。 (見守ってくれるって、言っていたのになあ)  ちょっと、寂しくなる。  竹の門をくぐると、風糺、山糺が飛び出してきた。 「ニャー!」「ブニャー!」 「風糺ちゃん! 山糺ちゃん!」  風糺は、小さな頭を貴和美の足にこすりつけ、山糺は、貴和美の前でひっくり返って大きなお腹を見せる。  いつも通りの2匹。  2匹の頭とお腹を撫でているうちに、貴和美の緊張はすっかりほぐれた。 「風糺ちゃんと山糺ちゃんは、(なご)ませる天才ね」  2匹に感謝する。  貴和美は、言葉が通じない風糺と山糺に聞いた。 「天糺ちゃんは、どこか知っている?」  どうせ答えは返ってこないと思っていたら、“ここにいるぞ”と、聞こえてきた。
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