師走 カラフル野菜とヒラメ

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 その声を聞いただけで、嬉しさで涙ぐんだ。 “ミーを見て、なぜ、泣く?” 「安心しちゃって……」 “緊張しすぎだろ” 「そうだけど……、自然とそうなっちゃうの」 “一楽は、朝からテンションが高い。一生懸命に髪を撫でつけておしゃれしている” 「えー! そうなの!? あの、一楽さんが?」  一楽が、自分のためにおしゃれをしている。  その姿を想像すると、貴和美の胸がくすぐったくなった。 「えー? えー? どうしよう!」  興奮する貴和美を、天糺は諫めた。 “落ち着け。一楽が、もうすぐ出てくるぞ” 「分かるの?」 “ミーが、貴和美の来たことを教えておいたからな” 「それは、ありがとう」  天糺は、よく気が回る本当に賢い猫だ。  一楽が、いつもの笑顔でやってきた。 「貴和美ちゃん。こんにちは。待ってたよ」 「一楽さん、こんにちは」  貴和美は、平静を装って挨拶した。  ところが、ついつい、一楽の頭に目がいってしまった。  天糺が言うことには、一生懸命にセットしたらしい髪型。  確かに、よく決まっている。  手拭いを頭に巻いている姿も男らしくて好きだけど、こちらも素敵だ。  服装は、チェスターコート、クルーネックニット、黒スキニーに革靴で、冬の装いを恰好良く決めている。
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