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了承の意と解釈して、エフレムはビーシュを《ニース》から引っ張り出した。
「……さて、まずは腹ごしらえだ。寝るか、語り明かすかはぼちぼち考えりゃいい。俺はどっちだって構わないからな」
こくん、と頷くビーシュは幼子のようにも見えた。
「で、なにが食べたい?」
エフレムはポケットからシガレットケースを取り出し、細身のタバコを取り出して咥えた。
「……おいしい、コーヒーがいいなぁ」
《ニース》にもコーヒーはある。
そこいらの喫茶店よりはずっと美味いが、もっと美味いコーヒーを出す店は帝都にたくさんある。
《ニース》のコーヒーが口に合わないとなると、エフレムと同じ通であるかもしれない。
「いいね。俺に心当たりがある」
「紹介、してくれる?」
エフレムは、もちろんと頷いて、宵闇の帝都を歩き出した。
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