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「だめだよ、れおくん。き、きたないから……そんなところ」
「嫌だったかい?」
倒錯的な光景だった。
見るからに育ちの良さそうな貴族の青年が、楽しそうに男のものを握り、なんの嫌悪感もなくしゃぶり、微笑んでいる。
あまりにも、あんまりな状況に理性はすでに追いつかず、ばくばくと高鳴る心臓に、視界が明滅している。倒れそうだ。。
「い、いやじゃ……ない、けど」
することはあっても、されることはなかった。
エヴァンは、抱きつぶされてきたビーシュを気遣ってくれているのか、もとより激しい情事を好まないたちなのか、驚くほど優しく抱いた。
まるで出会ったばかりの恋人のように、言葉を紡ぎ、快感を紡ぐ。エヴァンとの情事は、夢心地のまま朝を迎えることが多い。
「嫌じゃないなら、して良いかな?」
萎えていた中心はすっかり堅さを取り戻し、先走りは粘度を増してゆく。
なんて、浅ましい体なのだろう。ビーシュは情けなさに、眦に涙を浮かべた。
答えられないでいるビーシュを、レオンハルトは急かしたりはせず、ゆるい愛撫を続けながら、のっそりと起き上がった。
少し日に焼けた肌には、ビーシュが残した爪のひっかき傷が赤く散っていた。
夢ではない。
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