二章 真実の口

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 快感に声を上げるたび、満足そうにつり上がるレオンハルトの顔を見ていられなかった。もっと、もっととねだってしまいそうで、狂ってしまいそうで怖かった。 「きもちいい? ビーシュ」  ビーシュのささやかな抵抗を面白そうに笑って、レオンハルトは指を引き抜き、堅さを取り戻したペニスに再び指を絡めた。 「ほんとうに、れおくんは初めてなの?」 「嘘をついてどうするんだい? 本当だよ、自分から抱きたいって思ったのはビーシュが初めてかな。自分でも、驚いているんだ」  激しい愛撫ではなく、息を継ぐ余裕のある戯れのような刺激に身じろぎしながら、ビーシュは顔を覆っていた手を離した。 「女性との経験はもちろんあるけれど、積極的ではなかったからね。誘われたらするぐらいで、こういったことには興味が薄くて」  台詞のわりに、愛撫の手管は驚くほど上手い。  客を取って糊口をしのぐ娼婦たちよりもずっと、的確に性感帯を狙うレオンハルトの愛撫は、今までの経験がすべて白紙になるほど激しく……良かった。 「どうして、ぼくなの?」  一回りも年齢が上なのに、出てくる言葉は舌っ足らずで、子供じみていた。「かわいいね」と言葉を掛けられると、恥ずかしさに死にたくなる。 「どうしてかな。どうしてか知りたいから、僕はビーシュに会いに来たのかもしれないね」     
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