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ごくり、と鳴る喉に、ビーシュは体を包むタオルをぎゅっと握りしめた。
「俺との関係を、終わりにしたいって考えたほうがいいのだろうかな?」
残念だが。そうつぶやいて、頬に伸びてくる手が、ビーシュを誘うよう唇をもまさぐってくる。
じり、っと腰がしびれる。
いつも、意思よりも先に体が動き出す。恥ずかしくてたまらないが、どうしようもない。
知ってか知らずか、エヴァンはビーシュからタオルをはがし、しっとりと濡れた素肌に手を這わせてゆく。
「それとも、取引ではなく本当に付き合いたくなったのかな?」
わからない。
けれど、違うとも言い切れない。
ゆるゆると首を振ってみせるが、興奮に頭をもたげたものを隠せない。
「俺は、どちらでもかまわないが。できるなら、一緒に故郷まで来て欲しいと思うよ」
「どうして、ぼく……なんですか?」
ぜえぜえと息を切らすビーシュを宥めるよう頭を撫で、エヴァンは逃げようとする腰を抱き寄せた。
上質な布でこすりあげられると、先端に滲む先走りがエヴァンの下肢を汚す。
「君をみていると、放っておけない。上質なワインを見たときのように、誰にも渡さず自分だけで飲み干したくなるときと同じように、魅せられてしまうんだ」
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