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質の良い服にこびりつく欲の証に、ビーシュは眉を寄せて顔を赤くした。
「ぼくは、エヴァン様が言うほどの価値なんて、すこしもありません」
恐れ多い。
首を振るビーシュに、エヴァンは「やれやれ」と苦笑を零して、大きな手を堅くなり始めたビーシュのペニスに絡めた。軽くしごかれ、艶めいた声が上がる。
「ほんとうかな? 過小評価しすぎだよ、ビーシュ」
「んっ、ふ……ぁ」
びくん、びくんと背中が震え。濃い先走りがエヴァンの手を白く汚してゆく。
「今後、お金を出して男を買う生活はやめたほうがいいよ、ビーシュ。そんなことをしなくとも、君はじゅうぶんに魅力的だよ」
すっと、離れたエヴァンは、視線で寝室を指した。
「体を洗ってくる。俺と夜を楽しみたいのなら、そのまま、ベッドで待っているんだ」
ビーシュは熱に浮かされた体をもてあましつつ、こくん、と頷いた。
このまま服を着て部屋を出て行っても、エヴァンは怒りはしないだろう。
ワインを飲みながら本の続きを読むか、街に出て違う男を引っかけるかもしれない。
(自由な人だ)
シャワー室に入ってゆくエヴァンを見送り、ビーシュは寝室に入った。
ふかふかのベッドとシーツの間に滑り込むと、貴族の家で飼われている猫になった気分になる。
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