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エヴァンの審美眼が狂っていると言いたいわけでないが、馬鹿にされたと思われるかもしれない発言だった。
「そう、そのとおりだビーシュ」
ビーシュの危惧をよそに、エヴァンは機嫌良く頷いた。
「メルビスの作品は美しく細密であるが、一級品とは言いがたい。俺を前にして、手放しでメルビスを評価しなかったのは、君が初めてだ」
エヴァンはビーシュの肩をするっと撫で、ベッドから立ち上がった。
ベッドサイドにある棚を開き、鍵の掛かった引き出しを開け、小さな箱を取り出して戻ってくる。
「メルビス作の、首飾りだ。エーギル・バロウズという名の商人から買い付けた」
差し出される箱に、少し迷ったものの受け取り、見た目よりも重い感触に驚きながら、膝の上に置いた。
「エーギル・バロウズ。その商人とは、まだ取引をするんですね?」
はっきりとは言えないが、商人はエヴァンの足下を見ているように思えた。
「ただの宝飾を高値で買い取るエヴァン・ロナードという酔狂な富豪の財布を目当てに寄ってきた小汚い商人の一人だ。もう二度と会いたくなかったが、会わねばならない理由がある。先方が言うには、ほかにもメルビスの作品を持っているという話でね」
「どうして、エヴァン様はおじいちゃんの作品をお買いに?」
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