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二枚貝のようにぱくっと開いた蓋の隙間から、きらきらと瞬く光が覗く。
「ビーシュ。君はある意味、メルビスの作品だ。俺の心を惹きつけてやまない芸術品なんだよ」
体を撫でる手が、官能の火をともそうと怪しくうごめく。
びくん、びくんと素直に反応を示す体を笑われ、羞恥心にビーシュは唇を噛んだ。
違うと、思っていた。
優しい人なのだと、思っていた。
(同じだ。エヴァンさんは……同じだった)
ビーシュを何かの代用品にしてむさぼる男たちとエヴァンは、本質的には同類だ。
「ん、あっ……うぁ、え、えう゛ぁん、さま」
「今日は、いつもよりも素直だ」
いったん火がつけば止められない官能の火に、体が溶けだす。
行きずりの男とさほど変わらないのならば、心配するものなどなにもない。不安は消え、迷っていたぶん安心感が強まった。
緊張のほぐれた体は、貪欲に快楽を求めてゆく。おぼれるように、逃げるように。
「さあ、一緒に見よう。メルビスの首飾りは、一番好きな作品でね」
震えるビーシュの代わりに、エヴァンが箱の蓋を持ち上げた。
クリスタル。
ダイヤモンド。
ルビー。
銀細工が眩しい首飾りが、箱の中でぎらぎらと輝いていた。
「美しいだろう、ビーシュ」
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