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ふわふわと溶け出した思考の中で頷こうとしたビーシュは、首飾りをじっと見つめ、首を横に振った
「こ、これ……おじいちゃんの作品じゃ、ない」
エヴァンの表情が曇る。
「まさか、ありえない。この私が、確認したのだよ、ビーシュ」
声に怒りの色が滲み、肩の肉に爪が食い込むほど強く掴まれる。
このまま、肉を引きちぎられてしまいそうな痛烈な痛みに快感は吹き飛び、苦痛に視界が明滅する。
人が変わったようなエヴァンの激高に、ビーシュは呻きながらも首を振った。
「とても精巧な、ほ、本物よりもずっと精巧な……偽物、です」
本物よりも美しく、形作られた首飾り。
メルビスのようでいて、その本来のいびつな部分をすべて作り直した、ある意味挑戦的な偽物だ。
「は、はな……して、痛い」
震える手を伸ばし、肩をつかむエヴァンの手に重ねる。
「すまないね、ビーシュ。怪我をさせてしまった。らしくない姿をみせてしまった。恥ずかしいよ」
エヴァンが手を離すと、白い肌を血の筋がするりと垂れていった。
「まずは、手当をしないといけないな」
「――いえ、これくらい放っておいても大丈夫です」
「舐めれば治るのかな?」
腰を上げかけたエヴァンは、そのまま振り返ってビーシュをベッドに押し倒した。
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