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大人びた華やかさと深い影が同居している横顔は、未亡人のように見える。
「宗旨替えした、ってほどこだわってもいないんだけれどね。珈琲も紅茶も、おいしければどちらも好きさ。ただ、ここ最近、珈琲が好きな人と知り合ったってくらいで」
「お友達ができたの? レオンに? 珍しいわね、どんな人?」
あからさまに興味を示してくるエリスに、さすがにレオンハルトも苦笑を返さざるを得なかった。
「友達ぐらい、僕にだっているよ」
「明日お別れしても、簡単に忘れられる程度の友達なら、私にだってたくさんいるわよ」
長く、綺麗な足を翻してテーブルに戻ってきたエリスは、椅子に座らずカップを持ち上げ、ぬるくなった紅茶を一気に煽った。
「ただ、とくに大事な用事もなく、だらだらと時間を過ごしながらお茶を飲むようなお友達はとても少ない……いえ、いなくなってしまった」
「駆け落ちのせいで?」
「ええ、駆け落ちのせいで。今の私に寄ってくるのは、婚約者候補かニルフくらいなものよ。実に平和で、静かな日々を送っているわ」
お転婆というよりは下品なエリスの仕草を笑い、レオンハルトは皿に戻されたカップに新しい紅茶を注ぐ。
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