四章 甘く包まれる

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 口の中でサファイアの義眼を転がし、かるく嘔吐きながら、ビーシュは背中を大きく振るわせた。 「ん、んうっ!」  片手で口を塞いで、びくびくと腰を揺らす。  射精の脱力感に、視界の端がゆがんだ。ビーシュは口を塞いだ掌に宝石義眼を吐き出し、口の中に溜まった唾液を飲み込んだ。  椅子の上で大きく開いた足の間が、ぐっしょりと湿っている。 「何をしていたの、ビーシュ」 「――えっ」  こつ、こつ。  床板に響く靴音に、ビーシュは体をこわばらせる。 「れお、くん?」 「教えて、何をしていたの?」  穏やかな、それでいて否定を許さない強いレオンハルトの声音に、ビーシュは目を泳がせる。  どう、答えれば良いのだろう。  背後で立ち止まるレオンハルトを、ビーシュは振り返られないでいた。  何をしていたかなんて、答えられるはずもない。 「いつから、いたの?」  怖々と訊ねるビーシュに、レオンハルトは答えない。  ビーシュは背を向けたまま、唾液に濡れた宝石義眼をぎゅっと握りしめた。  ……見られていたのだろうか。  義眼で達した痴態を、レオンハルトは見ていたのだろうか。  情けなさと恥ずかしさ、そして少しばかりの興奮に胸が締め付けられる。  レオンハルトは何も言わない。  ただ、痛いほどの強い視線を背中に感じる。     
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