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驚いてレオンハルトを見返せば、美しいサファイアに心が一瞬で囚われる。
「もう一度、僕に見せて。何をしていたの?」
じいっと見つめてくる視線には、ビーシュしか映っていない。
ほかの、誰とも違う。
ずっと、ビーシュが望んでいた視線が目の前にあって……抗うにはもう、遅かった。
ビーシュは迷うよう視線をふらふらさせながら、握りしめていた手を開いてみせた。
「サファイアの義眼、僕の目かな?」
「うん。れおくんの、目だよ」
ビーシュは義眼とレオンハルトを交互に見やり、おずおずと、義眼につきだした舌を伸ばしていった。
ずっと握りしめていたせいか、先ほどよりも暖かい義眼に舌を絡め、唇で吸い付く。
甘い果実をむさぼるように、ビーシュは義眼を味わう。
「すごいね、ビーシュ」
興奮にうわずるレオンハルトの声に、ビーシュは喉を鳴らしてあふれる唾液を飲み込んだ。
レオンハルトの目をもした義眼を、本物の視線の中で愛撫する。
なんて、倒錯的なのだろう。頭がおかしくなりそうだ。
耳元をくすぐるレオンハルトの吐息にだんだんと熱がこもってゆくのを感じ、腰がきゅんと切なく軋む。
「おいしい? 僕の目は?」
「う……うん、おいしい、よ」
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