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すがりつけば、同じ力で抱きしめてくれる。ぴったりと寄り添う安堵感に、涙があふれてくる。
涸れてなどいなかった涙腺が、感情を押し上げあふれ出てゆく。
「ビーシュが良いんだ」
照れるそぶりもなく断言するレオンハルトに、ビーシュは涙を止めようと唇を噛みしめた。
「泣いていいんだよ、ビーシュ。我慢なんて、しなくていいんだから」
あやすよう頭を撫でる手に、ビーシュは顔を上げた。涙とよだれでぐしょぐしょで、きっとひどい顔をしているだろうに、レオンハルトは目をそらさずに見てくれる。
「う、うれし……くて」
「嬉しくて泣いているの?」
驚いてみせるレオンハルトに、ビーシュは頷いた。何度も何度も、涙をこぼしながら。
「かわいいね、ビーシュ」
「んっ、ふあっ」
歯の跡がついた唇を唇でこじ開けられ、舌が差し込まれる。
反射的に逃げようとする体を抱き留められ、興奮する下肢をこすりつけるよう密着しあう。
いつの間にか、ビーシュだけでなくレオンの雄も堅く頭をもたげていた。
「あっ、ふ……んっ」
涼しげな顔とは全く対照的な反応を見せるレオンハルトの体から甘い匂いを感じて、ビーシュは息を荒くさせながら首元に顔を埋めた。
このまま、溶けてしまいたい。
すがりつき、欲の塊を擦りつけながら悦に浸る。
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