四章 甘く包まれる

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 若い男は目深にかぶった帽子の下で眉をひそめ、手提げ鞄をサティに手渡した。  見ための小ささを裏切る確かな重さに、サティは困ったものだとため息をつく。 「ロナード様のご機嫌が崩れそうですね」 「それを宥めるのが、君の仕事だろう?」  面倒な仕事ばかりを押しつけてくる片割れにサティは中指を立て、エヴァンを追って宿に戻った。
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