四章 甘く包まれる

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 義眼をいじっていたレオンハルトの指を思い出し、ぎゅっと下腹が引きつる。 「ぼくも、レオくんに恋をしているのかな?」  射貫くように見据えてくる視線が、たまらなく好きだった。  ここにいると袖を引っ張らなくとも、視界の中に閉じ込めてくれる。  抱きしめられるよりも、キスをされるよりも。  体を深く繋ぐよりもずっと心地いい。  ずっと、閉じ込められていたい。  ビーシュは義眼を拾い上げ、白衣の袖で綺麗に汚れをぬぐった。  宝石で義眼を作るのは、思い出を残すためだったが、このサファイアは少し違うように思える。  くちづけをし、そっと両手で握りしめ、そのまま胸に押しつけると、今まで感じたことのないじんわりとした熱さが体に広がってゆくのを感じた。  鼻がしらがじんと熱くなり、零れた涙が眼鏡を濡らす。  気持ちの良い涙だった。  レオンハルトを思うと、体が熱くなる。性欲とは少し違った、緩やかな熱だった。  言葉には表せない強い感情が、涙となってあふれでているのかもしれない。 「こんな、涙もあるんだね」  ビーシュが最後に泣いたのは、父が焼かれて煙になった時だっただろうか。  かなしくてかなしくて、声がかれるほど泣いて。     
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