四章 甘く包まれる

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「ロナード様より伝言を申しつかり、お邪魔させていただきました。いや、なかなかお声を掛けられず、結果として盗み聞きのようなことをしてしまい、申し訳無く思っております」 「……えっ?」 「エヴァン様も、ご自分が思っている以上にあなたにご執心なのかもしれませんねぇ」  にたにたと笑うレスティに、ビーシュは両手で顔を覆った。まさか、レオンハルトとの情事を覗かれていたのだろうか。  確かめたいが、恥ずかしすぎて問えない。表情だけでは、確かなことはわからない。 「先生、あなたそうやって何人もの男を落としてきたんですか? 四十二のおじさんって思っていたんですけどね、こりゃあロナード様もふらつくわけだ」  振り返ったレスティが、するっとビーシュの懐に入り込んで、片手で顎を強く押さえてくる。  あっという間の接近に、ビーシュは圧迫される苦しさよりも、驚いて目を瞬かせた。 「かわいらしいですね」 「……んっ!」  尖った舌に、唇を舐められる。ぞわっと背中に広がる嫌悪感に、ビーシュは体をこわばらせた。 「ふふ、いやいや。すみません、悪ふざけが過ぎました。先生、オレと一緒にロナード様のところまで来ていただきたい。大事な商談があるようで、先生にどうしても出席してもらいたいと」  ビーシュはレスティを突き飛ばし、服の袖でごしごしと唇をぬぐった。     
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