五章 心と口と行いのなかに

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(れおくんとのを見られたほうが、恥ずかしい……かな)  指先で眼鏡を探していると、レスティが差し出してくれた。よかった、ゆがんでいない。 「あの、帰ってもいいですか?」 「なに言っているんです、先生。駄目にきまっているじゃあないですか。さあ、食事を取って下に降りましょう。ロナード様が、あちらでお待ちですよ」  駄目で元々、わかっていて聞いたのだが、はっきりと言葉にされると不安が募る。  このまま、帝都からも連れ出されてしまったらどうしようか。  レスティが背中を向けた隙に、突き飛ばして逃げられないかと考えるも、体の疲労は重く、歩くだけで精一杯だ。  エヴァンの拘束をはね除けるどころか、身じろぐことすらかなわなかった非力さは、情けない。  軽口を叩くレスティだが、体つきは軍人を連想させる。力尽くで逃げるのは、どうにも現実的ではないように思えた。 「あの、食事よりも先に服がほしいです。体も、その……拭きたいですし」  贋作が転がっていたはずの床は、脱がされた衣服と一緒に綺麗に無くなっていた。 「あぁ、たしかに。男の匂いをぷんぷんさせて出歩くわけにもいきませんよね。申し訳ありません、サティと違って全く気が利かなくて」 「もういいわ。あなたは仕事に戻りなさい」     
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