五章 心と口と行いのなかに

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 買い求めた茶葉を片手に息巻くエリスに、ニルフは頭を抱える。たしかに、ニルフよりも剣術や体術の部類は上だが、所詮は引きこもりだ。さすがに錆びているだろう。  とはいえ、危険だと言って聞くような相手でもない。押し問答をしていたら、見失うかもしれない。 「危険でないところまで、ですよ。僕も姉さんも本業じゃないんですから」  軍人であるレオンハルトがいてくれたら良かったのだが。  護身用のナイフだけでは頼りないが、どうにも胸騒ぎがした。
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