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同性との交際に比較的寛容ではある社会情勢であっても、だからといって相手をとっかえひっかえしている行為は、決して良くは思われなかった。
ビーシュが孤立しているのには、理由がある。
だんだん申し訳なくなってきて、ビーシュはレオンハルトの腕の中で、できるだけ小さくなろうと縮こまる。顔をうつむかせ、少しでも周囲にばれないようにとつとめた。無駄な努力では、あるだろうが。
「僕は、他人にどう思われようと全然かまわないんだけどね。ビーシュがこんなに困ってしまうなら、従おう」
離れる体に名残惜しさを感じて、同時に浅ましさを覚えて恥ずかしさに、唇を噛みしめた。
「レオンくんは、誰かのお見舞いにきたの?」
軍人でごった返ししていた乗合馬車の停留所にいたのだから、遠征から帝都へ戻ってきた軍人なのだろう。
よくよく見ると、すこし日に焼けた肌をしていた。
「うん、そうだよ。もうしばらく入院する必要があるみたいだけど、元気そうで良かった」
「うん、元気なのはとてもいいね。ここの先生たちはみんな、場数を踏んでいるし、腕がいい人たちばかりだからすぐに良くなるよ」
冷たい風のおかげで、ほてっていた体温がだいぶ落ち着いてきた。
「また、レオンくんに会えるとは思わなかったよ」
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