二章 真実の口

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 軍部と軍病院は並立されているが、軍人が病院に赴くことはあっても、逆は早々ない。会えたら良いなとは思っていたが、期待はしていなかった。  ビーシュは深呼吸をしつつ、レオンハルトの目をちらちらと見上げた。  同時に、脳裏にちらつくのは、エヴァンが見せてくれたサファイアの原石だった。  頑張れば手が届くくらいの石でいいだなんて、どうして思ったのだろう。逆立ちしても手の届かない品質の良いものでなければ、とても釣り合いそうにない。 「ねえ、ビーシュ。午後の予定はあるかい?」 「予定は……義足の調整をしなくちゃいけないんだ」 「急ぎのお仕事かな?」  少し考えてから、ビーシュは首を横に振った。  レオンハルトは、嬉しそうに微笑んだ。つられて微笑むと、暖かい手のひらがそっと頬を撫でていった。 「よければ、外に出て遅めの昼食をとらないかい? もっと、ビーシュのことを僕に教えて欲しいんだ」 「どうして、ぼくのことを知りたいの?」  差し出された手に、ビーシュはおそるおそる手を重ねた。  駄目だとおもっても、断り切れない。いい歳をした大人なのに、あたえられるものを選べない。 「気になるからだよ、ビーシュ。あまりにも君が僕をじっとみつめるものだから」  ぎゅっと重ねた手を握りしめられ、ビーシュは促されるまま立ち上がった。     
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