二章 真実の口

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「あっ、でも、ぼくお金……そんなに、持っていなくて」  学生ではあるまいし、なんて情けない台詞なんだろう。ビーシュはレオンハルトの手から離れようとしたが、痛いほど強く握られていて動けない。 「いいよ。僕から誘ったんだから、ごちそうさせてくれないかい? 遠征から戻ったばかりだから懐はたっぷりしているしね。遠慮はいらないよ。さあ行こう、ビーシュ」  おいで、と見つめてくる目に、ビーシュは反射的に頷いていた。
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