二章 真実の口

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 直接、祝福を送ることはできないだろうが、今後のつきあいもある。ささやかな品ぐらいは、送らねばなるまい。  アーカム家は帝都でも有数の商人で、エヴァンが所有する金の取引に一役買って出てもらっていた。 「なにぶん、二人とも今の今まで浮いた話がろくに出なかったものどうしですからね。のらりくらりとしておりまして、はっきりしないのです。しばらくは、掛かりましょう。まだまだ、安心できませんな」  デニスの苦笑いに付き合って、エヴァンも「困ったものですな」と笑いかえした。  娘の結婚をあきらめていたデニスは、態度こそ素っ気なくあるが、内心は地に足がつかないほど喜んでいるに違いない。  娘かわいさ、というよりは結婚によって広がるつてで、どう商売を広げていこうかという打算でいっぱいなのだろう。 「街で、エーギル・バロウズという商人と知り合ってね」  デニスに案内されるまま、エヴァンは落ち着いた色合いで統一された客間に入った。  見るからに高そうな、えんじ色に染められた革張りのソファに腰掛ける。 「半年前から、貴族を相手に宝飾品を売り歩いている商人ですね」 「とんでもない商売敵が出てきたもんだと、嘆いている宝石商の話も聞いている。俺にも声をかけてきてね」     
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