二章 真実の口

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「姉さんが何を言っているのか、理解できませんね。レオンさんはとてもいい人ですよ。格好良くて、責任感もあって……まさに清廉潔白なお人です」  くってかかりたいのは山々だが、喧嘩は避けたい。いや、ニルフがひとりでいきりたつだけなので、実際には喧嘩にもならないが。 「もっと、ちゃんと自分らしく生きてください」 「女の幸せってやつかしら? そうね、まあ……一応、頭にいれているわよ」  紅茶をすする姉に嘆息を零し、ニルフは足早に部屋を出て行く。  近いうち、自分がレオンハルトに会いにゆかねばならないだろう。  エリスとレオンハルトの婚約を成功させるためには、自分がうごかねばなるまい。そう、心に誓った。
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