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ふうっと、大きく息をつき、ビーシュはなんともない顔を作って――うまくいっていると信じて、レオンハルトに頷いた。
「まっていて、いま持ってくるね」
「うん。楽しみだな」
宝石義眼は、長いこと助手をしてくれているフィンにも秘密にしている。趣味の悪い戯れであると自覚はしていたので、他の誰かに披露する日が来るなんて、思いもよらなかった。
むしろ、気色悪いと拒否をしてこないレオンハルトの反応が、ビーシュにとっては不思議だったかもしれない。
工房の奥に入り、ビーシュは寝台の横に置いてある棚から、宝石義眼を入れた箱を引っ張り出す。
箱の中には、いままでビーシュと関係のあった人々の目をもした義眼がぎっちりと詰め込まれている。
さすがのレオンハルトも、これを見たら気持ち悪がるかもしれない。迷うビーシュに「どうしたの?」と声が掛かった。
工房の作業場で待っていると思っていたレオンハルトが、背後に立っていた。
「どうもしないよ、いま、見せるね」
振り返ろうとして、ビーシュはレオンハルトに背後から抱きかかえられ、びくっと体を震わせた。
「それが、ビーシュの作った義眼?」
耳元をくすぐる吐息の暖かさに、心臓がばくばくと飛び跳ねた。
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