二章 真実の口

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「だめ、かな? うん、駄目だよね。気持ち悪いよね」 「いいよ」  レオンハルトは当然とばかりに答えた。びっくりして顔を上げれば、微笑すら浮かべている。 「変わっているね、レオンくんは」 「そうかな? よく言われるけれど、自覚はないんだ」  サファイアの色をした眼球に、ビーシュの顔がいっぱいに映り込んでいる。 (……綺麗だな)  誘蛾灯に引き寄せられるように、ビーシュはレオンハルトに向き直り、青い瞳を見上げる。  もっと、もっと近くで見たい。  レオンハルトのほうが高いので、自然とつま先立ちになる。 「自覚がないのは、ビーシュも一緒だね」 「……えっ?」  唐突に視界が暗転して、驚いたビーシュは、レオンハルトにしがみついた。 「ん、あっ」  唇が熱い。  くちづけをされている。  どうしてだろう?   苦しくなる息に喘げば、ぬるりと舌が入り込んできた。 「ん、んんっ」  レオンハルトの背中に手を回し、厚手の軍服に爪を立てる勢いでしがみつく。  熱い吐息が絡み、唾液があふれて顎を伝った。戯れではない、深い性的な口づけに、がくがくと、膝が震える。  腰が抜けそうになって、ビーシュはか細く鳴いた。 「はふっ、んぁ……れ、れお……く」     
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