二章 真実の口

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「ビーシュがお金をはさむことで安心するというなら、受け取っても良いけれど。できれば、このまま繋がりたいな」  明らかな意思をもって動く足に、ビーシュは堅く膨らんでゆく股間に痛みを覚えていた。  くるしい。  はやく、欲しい。  飢える体の欲求をなんとか押しとどめ、ビーシュはレオンハルトを見上げた。 「どうして、レオンくん」  エヴァンのように夜遊びに興じているようには、とても思えない。  勝手な偏見かもしれないが、性衝動には無縁そうな、一種、潔癖さを感じるところもある。  どうして、自分なのだろう。  本気であろうと遊びであろうと、もっとふさわしい相手は別にいるだろうに。 「どうしてだろうね。ビーシュと出会ってからずっと、忘れられないんだ。毎晩、夢で君を抱いているくらいには」  何を言えば、良いのだろう。  ビーシュはがくりと、膝からくずおれる。レオンハルトが支えていなかったら、床にひっくり返っていただろう。 「男性とするのは……じつのところ、初めてなんだけど。上手くやるから、ね?」  力尽くでそばにあったベッドに寝かされ、ビーシュは大きく喘いだ。  逃げる間もなくすぐに覆い被さってきたレオンハルトが、「ビーシュはどうなの?」と耳元に唇を寄せて囁いた。     
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