二章 真実の口

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 ビーシュはぞくぞくと背中に走る快感をやり過ごそうと、ぎゅっと、目をつぶった。 「ぼくは、初めてじゃないから」 「そう? なら、大丈夫かな?」  面白そうに笑ったレオンハルトに、ビーシュは顔を赤くした。  恥ずかしい。  恥ずかしくて、死んでしまいそうだ。  何を言っているのだろう。  もう、なにがしたいのかどうすればいいのか、さっぱりわからない。 「い、いや、そうじゃなくて」  白衣を脱がされ、シャツのボタンをひとつひとつ外されてゆく。  レオンハルトの指は、軍人にしてはあまりごつくなく、長くて綺麗だ。剣を振るうよりも、楽器を叩いている方がよほど似合うだろう。 「僕と寝るのは嫌かい?」  嫌だと言えば、レオンハルトはあっさりと離れてゆくだろう。  本心を言うならば、このまま抱いて欲しい。体はもう、レオンハルトの雄を想像して出来上がっていた。  とはいえ、このまま進んではいけないと、なけなしの理性が迷わせていた。  レオンハルトは、エヴァンや夜の店にたむろする男たちとは違う。まして、貴族だ。  詳しくはわからないが、オスカーという名には聞き覚えがある。名のある貴族に違いない。  男遊びに興じて良い身分ではないだろう。 「嫌なの? ビーシュ」     
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