二章 真実の口

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6  腹が重い。  目をこするが、眼鏡がないので視界はぼやけたまま、ビーシュは首だけを動かして時計を探した。 「だめだ、見えないや」  なんとなく時計らしき影は認識できるが、肝心の時刻まではどうしても見えない。ぎゅっと目をこらしても、視界はぼんやりしていた。 「まだ夜だよ、ビーシュ。どうしたの? めがさめちゃった?」  体のすぐ側でごそごそと身じろぐ暖かいものに、ビーシュは驚いて飛び起きた。 「あ、そうか……レオンくん。ぼく、レオンくんと」 「気持ちよかったよ、ビーシュ。久しぶりに、楽しかった」  シーツの中に残る精の残り香を感じ、気恥ずかしさに鼓動が早くなる。  腹の上に頭を乗せ、見上げてくるレオンハルト。その、青すぎる両眼に、ビーシュは唇を噛んで目を泳がせた。  落ち着かない。  とても、落ち着かない。 「ビーシュ、レオって呼んで。とてもかわいかったから、そう呼んで欲しいな」 「……んっ」  股の間の、敏感な肌を撫でられるとせっかく落ち着いていた官能の火がくすぶり出す。  毎夜のようにエヴァンと夜をともにしていたせいだろうか、いつも以上に感じやすくなっているような気がした。     
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