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「もう少し、早くに声をかけてあげるべきでしたね。どうも、普通の人間の感覚というものが、私には分からないらしい。以後、気を付けることにしましょう」
キッチンでお湯を沸かしながら、ザークは一人ごちる。
「そういえば……コーヒーで大丈夫でしょうかね?」
客人の好みを聴き忘れた、と今更ながらに思う。
「ま、ミルクと砂糖を入れずに、少し多めに持っていきましょう」
自己完結し、湯気を立てている二つのマグカップと共に、佐藤とミルクもトレイにのせ、先ほどのリビングへと戻って行く。
のんびりとリビングへ戻ったザークは、トレイをテーブルに置く。入ってきたまま、コートも脱がず立っているロイが、窓の外を見ている事に気付き、ザークも窓の外へと目を向ける。
「あぁ、雪ですか。寒い訳ですね」
ザークが言葉を発した事により、彼が戻ってきている事に気付いたロイは、ハッとしてザークへと目を向ける。
「コーヒーで良かったですか?飲みませんか?」
ニッコリと微笑み、自分が座ったソファの向かいへ座るように進める。もちろん、マグカップの横には砂糖とミルクを添えて。
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