第一章

10/14
前へ
/168ページ
次へ
(あいつが気に入りそうな子だな)  そう思うザークの心に、誰の顔が浮かび上がったのか……。 (どうする?依頼を受ければきっと彼らと関わることになる……。否、まだはっきりと決まったわけではないが。十中八九そうだろうな。もう既に犠牲者となっているか、それとも……) 「あの、駄目ですか?」  真剣に考えているザークの目に、必死の様子のロイがうつる。  友人が行方不明になってから、彼は警察や探偵事務所など、色々と回っただろう。勿論、一つや二つではないことは想像つく。  これだけ必死の彼を気落ちさせたくない。ましてや、自分が紹介できる探偵事務所などとうに彼は行った後だろう。  ならば……。  どうせ、彼らを避けて暮らしていくなんてことはできないとわかっている。  関わるのが、少し早まるだけだ……。  心に浮かぶ二つの影を頭を振って振り払い、ザークはロイへ笑顔を見せる。 「その彼を探してほしい、という依頼ですね?」  確認を取るザークに、ロイはコクリと頷く。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加