第一章

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「わかりました。受けましょう。ただし、次の二つのことを心に留めておいて下さい。一つは見つけられない可能性。そしてもう一つは、彼が既に他界している可能性です」  真剣な表情をして頷くロイを見ながら、ザークは話を続ける。 「アメリカだけでも広いですからね。まして海外へ出られたら、見つけられる可能性はゼロです。日本へは、帰っていらっしゃらないのですよね?」  聞かれてロイは、 「はい、一番初めに電話しました。もし戻ってきたら連絡をくれると言って下さいましたけど、連絡が無いということは、戻っていないという事だと思います」  と言う。ザークは頷き、 「わかりました。この州内にいらっしゃれば問題ないのですが。この州にいらしたとしても、例の吸血鬼事件があります。未だに見付かっていない犠牲者がいる可能性があるのです。実際、行方不明者はここ最近増えているそうです。それでも、良いでしょうか?」  ザークも真剣に言葉を選びながら話す。話を真剣に心に焼き付けるように聞いていたロイは、 「それでも、良いです。……やっぱり、犠牲者となっている確率は高いんですか?」
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